【句】2020・12・30
2020年12月30日
台所のカレンダー、
今年もいよいよおしまいだなあ・・・と思いながら、
しみじみと眺めました。
今日と明日の欄に句が三つ。
彼(か)の人に書きもするなり年始状 虚子
ラジオいま雪の信濃の除夜の鐘 相島虚こう(口偏に孔)
ふさはしき大年といふ言葉あり 虚子
年賀状のこと、年始状ともいうのだ。
大年、あんまり使わなくなったなあと思う。
カレンダーに「大年」の説明があります。
除夜から元日への一年の境。あるいは大晦日そのものをいう。
年越しに人々の思いは様々だが、
時は弛(たゆ)むことなく刻一刻と新しい年へと続いていく。
「大年」の語感には、そんな、どこかおおらかな響きも感じられる。
カレンダーの余白に4人の期日が載っています。
旧12月25日:蕪村忌(与謝蕪村の忌日)
12月 9日:漱石忌(夏目漱石の忌日)
12月30日:横光忌(横光利一の忌日)
12月31日:寅彦忌(寺田寅彦の忌日)
『カラー図説 日本大歳時記』(講談社)から、
それぞれの忌日の句をもらいました。
蕪村忌の雀の画などかけ替えて 岸野千鶴子
漱石忌 日々の流れにさからはず 河野南畦
横光忌 黙契いよよ頑(かたくな)に 石田波郷
寅彦忌 灯(あか)りてくらし神田川 山田英二
いずれもいずれも、
心にしみて秀句だと思います。
とりわけ、「雀の画など」「灯りてくらし」はいい。
今朝は「明鏡 国語辞典」(大修館書店)を頼りました。
もっけい【黙契】暗黙のうちに、合意や約束が成り立つこと。または、その合意や約束。