【時代小説】2021・1・2
2021年01月02日
大晦日の夜から元日の夜まで、
あんまりテレビも見ずに、
一日中どこにも行かず、
横になったり座ったり、
文庫本と一緒に過ごしました。
年末に、
主に時代小説をまとめて買っておいてよかった。
まずは、
中島久枝『一膳めし屋 丸九(まつきゅう)』(ハルキ文庫)
その中から、
「本物」にまつわる個所を紹介します。
このふたりも子供の頃から絵が好きで、得意で、
国元では天才と噂されていたのかもしれない。
ところが画塾に来てみたら、
本物の天才、鬼才がいた。
己の限界を思い知らされた。
切ないことだが、
それぞれ生まれ持った器(うつわ」というものがあるらしい。
つまり、
仙吉は子供の頃から本物を見て育ったのだ。
画だけではない、
書画骨董に食べるもの、着るものまで、
さまざな美しいもの、よいもの、おいしいものに触れてきた。
仙吉の才は小手先のものではない。
もっと豊かな、広がりを持ったものに違いない。
お高はまぶしいような思いで仙吉をながめた。
自分自身の来し方を振り返って、
「本物」という語が妙に心にしみました。