年末から年始にかけて、
いささか体調がすぐれず、
出かけることもなく、
ごろごろしながら読書しました。
心の滋養になりそうな時代小説ばかりを選んで・・・。

  「どちらを選んでも辛いということだな」

  「でも、どっちかを選ばなきゃならねえとしたら・・・。
   島田さんなら、どっちを選ぶんですかい」

  「それは・・・。明日がある方だ」

    (畠山健二『本所おけら長屋』〈13〉PHP文芸文庫)

  自分の夢を託すこともあるだろう。
  だから、息子に対して父は厳しい。
  だが、娘には、甘い。
  それは、いずれ嫁となって家を出ていくからだ。
  考えてみれば、
  父と娘がいっしょに過ごす時間は存外短い。
     (中島久枝『はじまりの空~日本橋牡丹堂 菓子ばなし~』〈6〉光文社時代小説文庫)

  おとっつぁん、おっかさん。
  私を産んでくれてありがとう。
  私も自分の子にそう言ってもらえるように・・・、
  文七さんと・・・。
     (畠山健二『本所おけら長屋〈12〉PHP文芸文庫)

  「小萩はうらやましがられているんだよ。
   好きなことを見つけて、
   それに向かって進んでいるんだから。
   だれもが、
   大好きなものに巡り合えるってわけじゃないんだよ。
   もっと胸を張らなくちゃ」
  その通りだ。
  おかあちゃんは、いつもいいことを言ってくれる。
     (中島久枝『ひかる風~日本橋牡丹堂 菓子ばなし~』〈4〉光文社時代小説文庫)

腹の足しにならないものが、
生きる足しになることがあります。

体に効かないものが、
心に効くこともあります。
花2