今朝の朝日歌壇と朝日俳壇を見ていて、
こういう短歌や俳句に心動かされる自分がいるのだと、
あたかも姿見を見るように、
自分自身を露(あらわ)にされたように思いました。
それが私の本質なのか、
それとも今の心身の状態なのか、
その線引きは難しいところですが・・・。
とにかく、
選んだ歌と句は、
自分を映す姿見でした。

朝日歌壇から一首。
  疲れたる白鳥のごとコロナ禍の看護師たちが仮眠している (豊橋市)小村 宏

朝日俳壇から一句。
  守りたき命のありて冬籠(ふゆごもり) (さいたま市)齋藤紀子

朝日新聞の「日曜に想う」に、
吉屋信子の俳句が引用されていました。
  初暦 知らぬ月日は美しく
新春のラジオ放送用に、
年の暮れのこの句を詠んだそうです。

ところが、
新年早々、
母親が亡くなり、
そのときに詠んだのが次の句です。
  母の逝く日は知らざりし初暦

まだ知らない月日は、
  知らないからこそ、まっさらで美しいが、
  しかしその美しさは一方で、
  「知らないだけ」という空恐ろしさを秘めている。
       (編集委員:福島申二「後ずさりで未来へ進むコロナの冬」)
この感慨を下敷きにして、
今の世情が巧みに論じてあります。
もの思わせる「日曜に想う」です。