昨日、
「マンガで読むアルベール・カミュ『ペスト』」(宝島社)を買いました。
監修は学習院大学文学部教授・中条省平さん、
マンガは嘉噛(かがみ)もちさん。
旬1

巻末に、
「もっと味わいたいカミュ『ペスト』14の名言」がありました。
その中から「けだし名言」を二つ。
  ペストが終わったらこうしよう、ああしようなんて・・・
  彼らは自分でわざと生活を暗くしているんですよ。
  黙って平気でいればいいのに。
            (商人のコタール)

  ペスト患者であるのはひどく疲れることだ。
  しかし、
  ペスト患者になりたくないと望むことは、
  さらにもっと疲れることなんだ。
            (旅行者のタルー)

これらもまた「逆説的名言」に加えたいと思います。

この本の最後の記事、
「終わりに~『ペスト」から『j反抗的人間』へ~」が、
なかなかの卓見です。
少し引用します。
  疫病、天災、戦争といった不条理に対して反抗して行動する。
  あらゆる人間がともに反抗することで連帯を生む。

  苦しみは個人的な体験だが、
  反抗の意思が起きた瞬間から、
  その苦痛は万人のものとなる。

「逆説的名言」ではありませんが、
これまた、けだし名言です。

アルジェリアのペスト、
日本の新型コロナウイルス肺炎、
状況は似通っています。
苦痛が個人的苦痛であることも同じです。
でも、
『ペスト』と違うのは、
新型コロナによる苦痛は、
どこまでも個人的苦痛で、
今のところ日本では、
「犯行の意志」がまばらで、
「あらゆる人間がともに反抗すること」は更に希薄ですので、
『ペスト』のような「連帯」は成立しにくい。

『ペスト』のキーワードは「連帯」と言われてきましたが、
よく使われる「コロナ禍」のキーワードは「分断」であるように思います。