【逆説的名言(3)】2021・1・14
2021年01月14日
昨日、
「マンガで読むアルベール・カミュ『ペスト』」(宝島社)を買いました。
監修は学習院大学文学部教授・中条省平さん、
マンガは嘉噛(かがみ)もちさん。
巻末に、
「もっと味わいたいカミュ『ペスト』14の名言」がありました。
その中から「けだし名言」を二つ。
ペストが終わったらこうしよう、ああしようなんて・・・
彼らは自分でわざと生活を暗くしているんですよ。
黙って平気でいればいいのに。
(商人のコタール)
ペスト患者であるのはひどく疲れることだ。
しかし、
ペスト患者になりたくないと望むことは、
さらにもっと疲れることなんだ。
(旅行者のタルー)
これらもまた「逆説的名言」に加えたいと思います。
この本の最後の記事、
「終わりに~『ペスト」から『j反抗的人間』へ~」が、
なかなかの卓見です。
少し引用します。
疫病、天災、戦争といった不条理に対して反抗して行動する。
あらゆる人間がともに反抗することで連帯を生む。
苦しみは個人的な体験だが、
反抗の意思が起きた瞬間から、
その苦痛は万人のものとなる。
「逆説的名言」ではありませんが、
これまた、けだし名言です。
アルジェリアのペスト、
日本の新型コロナウイルス肺炎、
状況は似通っています。
苦痛が個人的苦痛であることも同じです。
でも、
『ペスト』と違うのは、
新型コロナによる苦痛は、
どこまでも個人的苦痛で、
今のところ日本では、
「犯行の意志」がまばらで、
「あらゆる人間がともに反抗すること」は更に希薄ですので、
『ペスト』のような「連帯」は成立しにくい。
『ペスト』のキーワードは「連帯」と言われてきましたが、
よく使われる「コロナ禍」のキーワードは「分断」であるように思います。