【サイン本】2021・2・12
2021年02月12日
今日は歯医者さんに行く日でした。
四か月に一度のクリーニング。
少し時間があったので、
古本屋さんに寄って、
古本を買いました。
岡部伊都子・小山三郎・新宮 晋『風ありて~伊都子短章~』(創元社)
岡部さんのサイン本でした。
心に残った個所を引用します。
日本人は花鳥風月に心を寄せることで、
本来たたかわなくてはいけなかった
「民衆の苦しみの原因」をまぎらわせ、
あいまいに生きてきた。
母は貧しいと“ぐち”を言うひまに、
一人分のごはんを小さなおだんごに握って
黄粉(きなこ)をまぶして、二皿の菓子にして、
もてなすのが好きな性格でした。
母を持たない人びとの悲しみを考えないで、
無神経に母を誇り、
母を語りました。
そして、その罪に気づきませんでした。
着いた「ひかり」のドアが開き、
丸木俊先生が降りてこられた、
小さな赤いリュックを背負って、
「いい恰好でしょ。気に入ってるの」。
まだ残暑のきびしかったころ、
町を歩いていて、ふと、
「お大根の煮(た)いたん」が食べたくなった。
読み終えて、
ああ、いい本に巡り合ったと、
心の底からそう思いました。
思い立って後戻りして良かった。
人生は邂逅に満ちている。