今日は歯医者さんに行く日でした。
四か月に一度のクリーニング。

少し時間があったので、
古本屋さんに寄って、
古本を買いました。

岡部伊都子・小山三郎・新宮 晋『風ありて~伊都子短章~』(創元社)
旬1

岡部さんのサイン本でした。
花2


心に残った個所を引用します。
  日本人は花鳥風月に心を寄せることで、
  本来たたかわなくてはいけなかった
  「民衆の苦しみの原因」をまぎらわせ、
  あいまいに生きてきた。

  母は貧しいと“ぐち”を言うひまに、
  一人分のごはんを小さなおだんごに握って
  黄粉(きなこ)をまぶして、二皿の菓子にして、
  もてなすのが好きな性格でした。

  母を持たない人びとの悲しみを考えないで、
  無神経に母を誇り、
  母を語りました。
  そして、その罪に気づきませんでした。

  着いた「ひかり」のドアが開き、
  丸木俊先生が降りてこられた、
  小さな赤いリュックを背負って、
  「いい恰好でしょ。気に入ってるの」。

  まだ残暑のきびしかったころ、
  町を歩いていて、ふと、
  「お大根の煮(た)いたん」が食べたくなった。

読み終えて、
ああ、いい本に巡り合ったと、
心の底からそう思いました。
思い立って後戻りして良かった。
人生は邂逅に満ちている。