候補にあがる前に、
その本を読んだこと、
これまでに数えるほどしかありません。
今回の直木賞受賞作がそれでした。
西條奈加『心淋し川(うらさびしがわ)』(集英社)

候補にあがったとき、
「へ~え、候補になったんだ」と思い、
受賞したときには、
「そうかぁ~、受賞したんだ」と思いました。

昨日、
「オール讀物」(3・4月号:直木賞発表合併号)を届けていただきました。
旬1
昨夜、
さっそく選評を読みました。

『心淋し川』は高い評価を受けています。
たとえば、
「候補作のなかでもっとも完成度の高い短編集である」(角田光代)
「圧倒的な安定感がある」(桐野夏生)
「まことに江戸情緒の味わいのある作品だった」(伊集院 静)

私も同感でした。
ただ、
短編の一つ「閨仏(ねやぼとけ)」だけが、
私の感じた情緒とは異なっていました。
「『閨仏』のような粋な小技が、本作を逸品にしているのである」(高村 薫)
「おかしさ、切なさは斬新以外のなにものでもない」(三浦しをん)
「いやらしさがなく、むしろ文章の明るさから、
 妻(さい)たちの哀切がやわらげられるように感じる」(伊集院 静)

ああ、そうか、こういう感じ方もあるのだ・・・と思いました。
むしろ、こういうふうに受けとめる人の方が多いのだ・・・と思いました。