【少女化】2021・2・26
2021年02月26日
昨夜の寝る前読書は、
原田マハ『さいはての彼女』(角川文庫)でした。
「さいはての彼女」
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」
「冬空クレーン」
「風を止めないで」
の四短編から成っています。
どれもいい話でしたが、
とりわけ、
「さいはての彼女」と「風を止めないで」の“ナギ”には心惹かれました。
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」は、
以前読んだことのある、
原田マハ『ハグとナガラ』(文春文庫)の最初の話と一緒でした。
その中にこんな一節があります。
文字通り、
盆と正月しか帰らない私を迎えて、
母はいつもいっぱいに私の好物を作り、
風呂をきれいに掃除して沸かし、
私の手土産を父の仏壇に供えた。
テレビのお笑い番組をみてはころころと笑い、
買い物に出かけては、
必要のない靴下だのお饅頭だの買ってくる。
まるで少女のようにはしゃぐ母に、
私は密かにあきれたものだ。
あんたが帰ってくれば、嬉しくて。
台所で味噌汁の具を刻みながら、
後姿でつぶやいていた。
あれは、いつのことだったろうか。
今、たまたま娘が帰ってきていて、
そんなふうに少女化している妻がいるので、
この一節が妙に心に残りました。
娘ひとりでこんなありさま、
娘がふたりとも帰ってきたら、
少女化は更に進むのでしょうか?