昨夜の寝る前読書は、
原田マハ『さいはての彼女』(角川文庫)でした。

旬1

「さいはての彼女」
「旅をあきらめた友と、その母への手紙」
「冬空クレーン」
「風を止めないで」
の四短編から成っています。

どれもいい話でしたが、
とりわけ、
「さいはての彼女」と「風を止めないで」の“ナギ”には心惹かれました。

「旅をあきらめた友と、その母への手紙」は、
以前読んだことのある、
原田マハ『ハグとナガラ』(文春文庫)の最初の話と一緒でした。

その中にこんな一節があります。
  文字通り、
  盆と正月しか帰らない私を迎えて、
  母はいつもいっぱいに私の好物を作り、
  風呂をきれいに掃除して沸かし、
  私の手土産を父の仏壇に供えた。
  テレビのお笑い番組をみてはころころと笑い、
  買い物に出かけては、
  必要のない靴下だのお饅頭だの買ってくる。
  まるで少女のようにはしゃぐ母に、
  私は密かにあきれたものだ。
  あんたが帰ってくれば、嬉しくて。
  台所で味噌汁の具を刻みながら、
  後姿でつぶやいていた。
  あれは、いつのことだったろうか。

今、たまたま娘が帰ってきていて、
そんなふうに少女化している妻がいるので、
この一節が妙に心に残りました。

娘ひとりでこんなありさま、
娘がふたりとも帰ってきたら、
少女化は更に進むのでしょうか?