積読から選んで、
昨日、一気に読み終えました。
坂本 司『切れない糸』(創元推理文庫)
旬1

クリーニング屋さんの話です。
長男の和也の物語です。
喫茶店「ロッキー」の沢田が絶妙の推理をします。
本の帯から引用します。
  商店街の四季と共に、
  人々の温かさを爽やかに描く、
  青春ミステリーの決定版。

まさしく、
その通りのお話です。

  愛されていたという記憶さえあれば、
  人は一人になっても生きていける。
  大切にされた命だとわかっていれば、
  暗い道で迷うこともない。

  動物が傷を癒す秘訣は簡単だ。
  傷を抱えたまま、
  じっと治るのを待つ。
  けれど、
  人間はそうはいかない。
  ことに気持ちの問題はそうだ。
  いっぱい痛がって、
  いっぱいわめいて、
  いっぱい泣いて、
  その後よく眠る。
  子供のような手放しの状態を見せることのできる相手がいないと、
  傷は大きく重くなるばかりだ。

  だから、
  俺は糸村が泣けばいいと思った。
  泣いてわめいて、
  すっきりすればいいと思ったんだ。

昨日、
二つの贈り物が届き、
送り主の二人と、
その家族のみなさんの顔が浮かんで、
今日、お訪ねする人のことを思い浮かべて、
この商店街の四季の話、
静かに静かに心にしみました。