今朝の読書は一気読みでした。
畠山健二『本所おけら長屋』6(PHP文芸文庫)

旬1

その五「だきざる」に、
感染予防・感染対策と思われる場面がありました。
  風邪に似た症状ですが、
  咳や高熱が続き、
  体力のない年老いた者や、 
  子供の多くは死んでしまったそうです。
  三月(みつき)ほど前から、
  九州でこの病気にかかった者が出はじめ、
  先ごろは、上方でも・・・」

「その流行病(はやりやまい)はいずれ江戸にも・・・」

「御上(おかみ)は策を講じておられるのか」

  はい。
  まず、旅の者にはわからぬように、
  関所には医師を配備しています。
  熱のある者、疑いのある者は関所を通しません。
  また、宿場町や江戸の医師にも、
  内々で通達が出ていると聞いています。
  疑いのある者は、
  一定の場所に隔てることになると思います。

「聖庵堂」に患者と思われる旅人が担ぎ込まれます。
医師の「聖庵」が助手の「お満」に注意します。
  離れには、だれも近づけてはいかんぞ。
  そして、
  一番気をつけなきゃならんのが、ワシたちだ。
  どのように病が感染(うつ)るのかわからんが、
  気をつけねばならん。
  離れに入るときは、
  必ず布で鼻と口を覆(おお)うこと。
  離れから出たときには、
  手をよく洗うこと。
  これだけは守れ。
  よいな。
  もし、少しでも身体に異変を感じたら、
  すぐに申し出るんだぞ、

この文庫本、
2016年発行の本です。
舞台は江戸時代後期。

2021年3月20日に読んで、
大いなる感慨がありました