【論語物語】2021・3・26
2021年03月26日
先日の新聞書評で、
宮城谷昌光『孔丘』(文藝春秋)が紹介されていました。
昭和において、
孔子を知るには、
下村湖人『論語物語』と中島敦『弟子』だったが、
令和ではこの一冊・・・
というような文言だったと思います。
長いこと、
本箱に読みさしたままになっていた『論語物語』を、
先週末、
取り出しました。
これが思いのほか面白いのです。
どうして途中で投げ出したのだろう?
少し引用します。
一身を潔くするだけのことなら、
大して難しいことではない。
難しいのは、
天下と共に潔くなることじゃ。
こうして彼は、
衛を去る決心をしてからも、
永い間、門人たちを相手に日を送っていた。
丁度われわれが、旅に出る前に、
子供たちを抱き上げて頬ずりするように、
彼は彼の門人たちの心を、
その大きな胸の中に抱きとって、
仁の光に浸らせようと努めていたのである。
「論語」の短い章句を手掛かりに、
どうしてこのような魅力的な物語を創作できたのだろう?
読みながらずっと疑問でした。
でも、
この(注)を読んで納得しました。
この物語の大体の筋は、
孔子の伝記の中でも最も古いといわれている、
司馬遷の「孔子世家」に依った。