NHKラジオ文芸館で、
浅田次郎「あなたにあいたい」を聞いていて、
夜の静寂(しじま)に思いました。
人って、
人に言える人生では誠実そうでも、
人に言えない部分では不実な生き方してるなって・・・。

不実の記憶は
忘れて生きていても、
神経節に潜んだウイルスが、
抵抗力が落ちた時にヘルペスを引き起こすように、
心の抵抗力が落ちた時にジワリと蘇ってチクリと刺す。

浅田次郎の「あなたにあいたい」
久しぶりに帰郷した男が、
レンタカーを借りて、
「さあ、どこに行こうか?」と、
車のナビを検索します。
「買い物」「レジャー」・・・と。

「名湯・秘湯」を見つけ、
「これがいい」とパネルをタッチしようと思って、
その下を見ると、
「あなたにあいたい」という候補があるのに気づき、
「こりゃ。おもしろそうだ」と、これに決めます。
それが忘れていた「不実」の過去への入口でした。