注文していたビルマ文学が一冊、
昨日、手に入りました。
『12のルビー~ビルマ女性作家選~』(段々社)
マウン・ターヤ:編
土橋泰子・南田みどり・堀田桂子:訳
旬1

12人の女性作家からなる12の短編集です。
いずれも、
ビルマがミャンマーと国名が変わる1988年より前の、
1975年~1885年に執筆された作品です。

昨夜は、
キンスェウー「行列」と、
キンミャズィン「母なる先生」を読みました。
当時のビルマがよくわかります。
その生活もその思考も・・・。

話の筋にはこだわらず、
心に残った個所を引用します。
  「あらま、電気を止められるのこわくないの?」
  「ああ、うちんとこは電灯なんかありゃしないもの」
       (中略)
  彼女が自分は何でもよく知っていて、
  判っているのだと思い込んでいるこの世には、
  彼女のまだ知らない、
  あるいは彼女がまだ気づいていないことがあった訳だ。
                     (「行列」より)

  そして、
  自分の身体を私の毛布の中に、
  そっとすべり込ませてきた。
  私の懐に、
  小猫のようにもぐり込みながら、
  声を殺してしゃくり上げている。
  「かあさん、かあさん」
  小さくつぶやいている。
  そのわずかの間に、
  私の心と娘の心とは、
  暖かく一つになった。
  私はいまにもこぼれ落ちそうになる涙を、
  やっとのことで堪えながら、
  「もうお休み、おまえ」
  声を詰まらせながら、
  そう言った。
      (「母なる先生」より)