【ビルマ文学】2021・4・10
2021年04月10日
注文していたビルマ文学が一冊、
昨日、手に入りました。
『12のルビー~ビルマ女性作家選~』(段々社)
マウン・ターヤ:編
土橋泰子・南田みどり・堀田桂子:訳
12人の女性作家からなる12の短編集です。
いずれも、
ビルマがミャンマーと国名が変わる1988年より前の、
1975年~1885年に執筆された作品です。
昨夜は、
キンスェウー「行列」と、
キンミャズィン「母なる先生」を読みました。
当時のビルマがよくわかります。
その生活もその思考も・・・。
話の筋にはこだわらず、
心に残った個所を引用します。
「あらま、電気を止められるのこわくないの?」
「ああ、うちんとこは電灯なんかありゃしないもの」
(中略)
彼女が自分は何でもよく知っていて、
判っているのだと思い込んでいるこの世には、
彼女のまだ知らない、
あるいは彼女がまだ気づいていないことがあった訳だ。
(「行列」より)
そして、
自分の身体を私の毛布の中に、
そっとすべり込ませてきた。
私の懐に、
小猫のようにもぐり込みながら、
声を殺してしゃくり上げている。
「かあさん、かあさん」
小さくつぶやいている。
そのわずかの間に、
私の心と娘の心とは、
暖かく一つになった。
私はいまにもこぼれ落ちそうになる涙を、
やっとのことで堪えながら、
「もうお休み、おまえ」
声を詰まらせながら、
そう言った。
(「母なる先生」より)