岡本隆司さんの「『公孫龍』の魅力」が読みたくて、
「小説新潮」の3月号を買いました。
旬1

『公孫龍』は「小説新潮」に連載中ですが、
今年に入って、
巻一「青龍篇」が刊行され、
そのお祝いに「『公孫龍』の魅力」が掲載されたらしい。

今日は、
そのことは置いて、
特集「うつくしいひと」を取り上げます。

6人の作家が、
一編ずつ短編を載せています。

最初の井上荒野「今まで着たことがないコート、あるいは羊」を読みました。

こんな会話があります。
豆屋の店内で倒れた男性のために、
救急車を呼んだことがきっかけで、
「春奈」は「リ」さんと出逢います。

「春奈」の言葉を借りるなら、
彼は「すごくきれいな顔をした」「イケメン」で、
「ものすごくカッコよかった」のです。

「愛って何なのかな」
「春奈」がぽろりとつぶやきます。
「リ」さんが自分の胸をそっと押さえて云います。
  「ここにいる」
  「いるの?」
  「うん。羊みたいな感じのものだと思う。一匹ずついるんだ、みんなの中に」
  「私の中にも?」
  「いるよ」
  「いるかなあ」
  「いる。だからちゃんと世話をしなくちゃだめだ」

愛の在処(ありか)、
あるいは居場所、
誰の胸にも在るらしい。
あるいは羊のように居るらしい。

そして、
ちゃんと世話をしなくちゃいけないもののようだ。

わかりやすい喩え話です。