【愛の在り処】2021・4・25
2021年04月25日
岡本隆司さんの「『公孫龍』の魅力」が読みたくて、
「小説新潮」の3月号を買いました。
『公孫龍』は「小説新潮」に連載中ですが、
今年に入って、
巻一「青龍篇」が刊行され、
そのお祝いに「『公孫龍』の魅力」が掲載されたらしい。
今日は、
そのことは置いて、
特集「うつくしいひと」を取り上げます。
6人の作家が、
一編ずつ短編を載せています。
最初の井上荒野「今まで着たことがないコート、あるいは羊」を読みました。
こんな会話があります。
豆屋の店内で倒れた男性のために、
救急車を呼んだことがきっかけで、
「春奈」は「リ」さんと出逢います。
「春奈」の言葉を借りるなら、
彼は「すごくきれいな顔をした」「イケメン」で、
「ものすごくカッコよかった」のです。
「愛って何なのかな」
「春奈」がぽろりとつぶやきます。
「リ」さんが自分の胸をそっと押さえて云います。
「ここにいる」
「いるの?」
「うん。羊みたいな感じのものだと思う。一匹ずついるんだ、みんなの中に」
「私の中にも?」
「いるよ」
「いるかなあ」
「いる。だからちゃんと世話をしなくちゃだめだ」
愛の在処(ありか)、
あるいは居場所、
誰の胸にも在るらしい。
あるいは羊のように居るらしい。
そして、
ちゃんと世話をしなくちゃいけないもののようだ。
わかりやすい喩え話です。