新聞の広告を見て、
髙田郁「途中下車~軌道春秋Ⅱ~」が読みたくなり、
「小説推理」6月特大号を買いました。
旬1

「途中下車」から少し引用します。
  母親の訴えに、
  三十代前半の女性教師は、
  ああ、シカトですね、
  と尤(もっと)もらしく頷(うなず)いて、
  初めて薄く笑みを浮かべた。
    思春期の子どもには、
    よくあることです。
    相手が傷つくとは思いもしないし、
    悪気もないんですよ。
    騒ぎ立てると逆効果になりますし、
    あまり刺激しない方がいいでしょう。
    少し様子を見て、
    度が過ぎるようなら対応します。

  爪を無色のマニキュアで染めた担任は、
  案の定、何もしなかった。

高校生になっても引き継がれるシカトに耐えきれず、
「途中下車」して北海道の高校に転校することにします。

  最後に面接官のひとりが、
  亜希の眼を見据えた。
    安心して転校していらっしゃい。
    ここでは誰もあなたを「透明人間」になどしないよ。
  血の通った、温かなひと言だった。

こんな言葉も心に残りました。
  目的地に行くために必要な途中下車もある。

  疲れたら降りてもいい。

  諦めない限り、
  前に進む意思を捨てない限り、
  必ず次の列車はやってくる。  

結局、
たた12ページの小説を読むために、
月刊誌を一冊買ったことになります。
でも、
充分にその価値のある買い物でした。