【途中下車】2021・5・15
2021年05月15日
新聞の広告を見て、
髙田郁「途中下車~軌道春秋Ⅱ~」が読みたくなり、
「小説推理」6月特大号を買いました。
「途中下車」から少し引用します。
母親の訴えに、
三十代前半の女性教師は、
ああ、シカトですね、
と尤(もっと)もらしく頷(うなず)いて、
初めて薄く笑みを浮かべた。
思春期の子どもには、
よくあることです。
相手が傷つくとは思いもしないし、
悪気もないんですよ。
騒ぎ立てると逆効果になりますし、
あまり刺激しない方がいいでしょう。
少し様子を見て、
度が過ぎるようなら対応します。
爪を無色のマニキュアで染めた担任は、
案の定、何もしなかった。
高校生になっても引き継がれるシカトに耐えきれず、
「途中下車」して北海道の高校に転校することにします。
最後に面接官のひとりが、
亜希の眼を見据えた。
安心して転校していらっしゃい。
ここでは誰もあなたを「透明人間」になどしないよ。
血の通った、温かなひと言だった。
こんな言葉も心に残りました。
目的地に行くために必要な途中下車もある。
疲れたら降りてもいい。
諦めない限り、
前に進む意思を捨てない限り、
必ず次の列車はやってくる。
結局、
たた12ページの小説を読むために、
月刊誌を一冊買ったことになります。
でも、
充分にその価値のある買い物でした。