【岡江久美子】2021・6・1
2021年06月01日
本の整理をしていて、
以前、買った本を見つけました。
買ったものの全く読んでいない本でした。
『ワガコ』大和田美帆(新潮社)
「ワガコ」を妊娠した日から、
「ワガコ」を出産した日のこと、
「ワガコ」を育てる日々が、
ほんとうにすなに書かれていますが、
おしまいの方に、
母・岡江久美子の思い出が書かれています。
「暑い暑い夏に、母は母になった」
なかなか降りてこなかったので、
緊急で帝王切開をすることになったという。
お医者さんがお腹を開いてみてびっくり。
私の首にへその緒がしっかりと巻き付いてしまっていたのだ。
そりゃどんなに促進剤を打ったって産まれてこないはずだ。
それどころか、
私の生命の危機だったのだ。
家族がオロオロする中でも、
母は落ち着いていて、
手術後の傷跡を気遣う医師に向かって、
どうせ子供の頃から怪我ばっかりで、
傷だらけなので、
なんでもいいんです。
と答えたという。
「母のモットー」
例えばドラマの撮影なので、
泊りの地方ロケがある時、
撮影が予定より早めに終わった日は、
普通はホテルに泊まって次の日の撮影に供えるのだが、
母は地方から新幹線か飛行機で、
一時、東京に戻ってきて私との時間を作り、
また次の日に地方へ戻るという手段を選んでいた。
彼女はまだ幼ったので、
父・大和田 獏から聞いた話だそうです。
母・岡江久美子のモットーは、
「自分が苦しくならないこと」
「自分がしたいことを自由にしたいだけすること」
だったそうですが、
仕事と子育てを「両立しなければ」という義務感より、
「両立させたい」という願望の方が大きかったであろうと、
娘の心で書いています。
そして最後は、
こんな言葉でしめっくっています。
母はどんなことがあっても、
母の人生を楽しんでいる。
それだけは間違いがなかった。
昨年の4月23日、
新型コロナウイルスに感染して亡くなりました。
あれからもう一年以上が経つのだと思って、
「ワガコ」に登場する「岡江久美子」が、
心にしみました。