久しぶりに宮部みゆきを読みました。
先日の新聞に文庫化の広告が載っていましたので・・・。
『昨日がなければ明日もない』(文春文庫)
旬1
ミステリーなので内容には触れません。
巻末の「解説」を杉江松恋さんが書いています。
作家で書評家だそうです。
  杉村三郎は、防げない。
  この世で起こる災いを。
  人が人を傷つけてしまうという、悲しい行為を。
     (中略)
  無力であり、
  事件のたびに傷つかずにはいられない。
  だが、
  彼の力を借りたい人はどこかに必ずいる。
     (中略)
  図らずも文庫は、
  新型コロナウイルス流行下での刊行となってしまった。
  前年に始まり一向に収束を迎えることがない状況は、
  この社会には非常に脆弱な部分があり、
  普段はそれが不可視領域に押し込められているだけであることを、
  皮肉にも明らかにした。
  存在しながらないことにされてしまっている虚無は不安の温床となるだろう。

  社会の脆弱について、
  この世の虚無について、
  不可視領域に蹲(うずくま)って、
  不安の温床にたゆたいながら、
  ざわざわとした物思いをしました。 

「脆弱」・・・「もろくて弱いこと」と辞書にはあります。