【【癒しは相互的】2021・6・4
2021年06月04日
「図書」(岩波書店)4月号の巻頭言に、
河合俊雄さんが「こころの癒しと時間」と題してかいています。
児童文学は、
過去の出来事や人物との出会いが、
重要なファクターとして描かれることが多いのだそうです。
『トムは真夜中の庭で』では、
真夜中に時計が十三時を告げてから、
トムが秘密の庭園で会っていた少女が、
実は階下に住む老婦人の少女時代であったことがわかる。
また、
『思い出のマーニー』では、
喘息の転地療養に海辺の村にやってきたアンナは、
マーニーという不思議な少女に出会い、交流を深める。
マーニーと別れた後で、
彼女が自分の祖母にあたり、
娘を交通事故で失って、
孫娘を引き取るが、
間もなく亡くなったことがわかる。
どちらの物語でも、
過去の人物との出会いが、
主人公のこころの成長や癒しにつながると同時に、
能と同じように、
それが過去の人物の救済でもあるのが興味深く、
癒しは相互的なのである。
癒しは相互的、
すとんと腑に落ち、
しっくり腹に収まりました。