「図書」(岩波書店)4月号の巻頭言に、
河合俊雄さんが「こころの癒しと時間」と題してかいています。
旬1
児童文学は、
過去の出来事や人物との出会いが、
重要なファクターとして描かれることが多いのだそうです。
  『トムは真夜中の庭で』では、
  真夜中に時計が十三時を告げてから、
  トムが秘密の庭園で会っていた少女が、
  実は階下に住む老婦人の少女時代であったことがわかる。
  また、
  『思い出のマーニー』では、
  喘息の転地療養に海辺の村にやってきたアンナは、
  マーニーという不思議な少女に出会い、交流を深める。
  マーニーと別れた後で、
  彼女が自分の祖母にあたり、
  娘を交通事故で失って、
  孫娘を引き取るが、
  間もなく亡くなったことがわかる。

  どちらの物語でも、
  過去の人物との出会いが、
  主人公のこころの成長や癒しにつながると同時に、
  能と同じように、
  それが過去の人物の救済でもあるのが興味深く、
  癒しは相互的なのである。

癒しは相互的、
すとんと腑に落ち、
しっくり腹に収まりました。