【耳】2021・6・5
2021年06月05日
「図書」(岩波書店)4月号、
長谷川 櫂「自滅する民主主義」の中に、
岩手県に住む照井井 翠さんの句が取り上げられていました。
東日本大震災から十年の思いが吐露されています。
喪へばうしなふほどに降る雪よ
春の星こんなに人が死んだのか
ひとりまたひとり加はる卒業歌
長谷川さんが一言添えておられます。
卒業歌に加わるのは津波にさらわれた生徒たちである。
自分の心を空っぽの器にして、
聞こえるはずのない死者の声を聞き取る。
照井の俳句の姿勢がこの句で定まったようだ。
こんな耳もあるのだ。