7月号の「小説推理」(双葉社)にも、
髙田 郁さんが読切小説を載せています。
旬1
「軌道春秋」シリーズのⅡです。
「子どもの世界 大人の事情~鉄道を舞台にした感動の家族ドラマ~」
  子どもは大人の事情を受け容れて生きていくしかない。
  大人がそれを償う方法なんてないんだ。
  ありったけの愛情を示す以外には・・・。

だから「父」は謝るしかない、
  「圭介、ごめん・・・」
  今に至っても、
  それ以外に言葉が見つからないのだろう。
  父は苦しげに声を絞りだした。
  見開いたままの、
  圭介の瞳に涙が膜を張る。
  父は崩れるように両の膝を地面についた。
  そして、
  小さな息子の身体をそっと抱き寄せる。
  「ごめんよ・・・」