【子どもは】2021・6・5
2021年06月05日
7月号の「小説推理」(双葉社)にも、
髙田 郁さんが読切小説を載せています。
「軌道春秋」シリーズのⅡです。
「子どもの世界 大人の事情~鉄道を舞台にした感動の家族ドラマ~」
子どもは大人の事情を受け容れて生きていくしかない。
大人がそれを償う方法なんてないんだ。
ありったけの愛情を示す以外には・・・。
だから「父」は謝るしかない、
「圭介、ごめん・・・」
今に至っても、
それ以外に言葉が見つからないのだろう。
父は苦しげに声を絞りだした。
見開いたままの、
圭介の瞳に涙が膜を張る。
父は崩れるように両の膝を地面についた。
そして、
小さな息子の身体をそっと抱き寄せる。
「ごめんよ・・・」