昭和43年発行の詩集を読みました。
本棚を整理していて発見した詩集。
『山の詩集~エーデルワイス・シリーズ2~』(角川書店)
監修:深田久弥・串田孫一・北 杜夫
編集:鳥見迅彦
旬1

おびただしい数の詩が収められていますが、
知っている詩はわずか五編でした。

それはそれとして、
いろんな意味で心に残った個所を引用します。

やっぱり八木重吉はいいなあと思いました。
      素朴な琴
  このあかるさのなかへ
  ひとつの素朴な琴をおけば
  秋の美しさに耐えかねて
  琴はしずかに鳴りだすだろう

やっぱり北原白秋の「落葉松」はいいなあと思います。
とりわけ「八」がいい。
  世の中よ、あはれなりけり。
  常なけれどうれしかりけり。
  山川に山がはの音。
  からまつにからまつのかぜ。

次にいいのは「一」です。
  からまつの林を過ぎて、
  からまつをしみじみと見き。
  からまつはさびしかりけり。
  たびゆくはさびしかりけり。

記憶違いに気づいた詩もありました。
     山のあなた
        カアル・ブッセ
        上田 敏:訳
  山のあなたの空遠く
  「幸い(さいはひ)」住むと人のいふ。
  ああ、われひとと尋(と)めゆきて、
  涙さしぐみかへりきぬ。
  山のあなたになほ遠く
  「幸い(さいはひ)住むと人のいふ。

一行めも五行目も、
「山のあなたの」と思っていました。