【山の詩集】2021・6・7
2021年06月07日
昭和43年発行の詩集を読みました。
本棚を整理していて発見した詩集。
『山の詩集~エーデルワイス・シリーズ2~』(角川書店)
監修:深田久弥・串田孫一・北 杜夫
編集:鳥見迅彦
おびただしい数の詩が収められていますが、
知っている詩はわずか五編でした。
それはそれとして、
いろんな意味で心に残った個所を引用します。
やっぱり八木重吉はいいなあと思いました。
素朴な琴
このあかるさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしずかに鳴りだすだろう
やっぱり北原白秋の「落葉松」はいいなあと思います。
とりわけ「八」がいい。
世の中よ、あはれなりけり。
常なけれどうれしかりけり。
山川に山がはの音。
からまつにからまつのかぜ。
次にいいのは「一」です。
からまつの林を過ぎて、
からまつをしみじみと見き。
からまつはさびしかりけり。
たびゆくはさびしかりけり。
記憶違いに気づいた詩もありました。
山のあなた
カアル・ブッセ
上田 敏:訳
山のあなたの空遠く
「幸い(さいはひ)」住むと人のいふ。
ああ、われひとと尋(と)めゆきて、
涙さしぐみかへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸い(さいはひ)住むと人のいふ。
一行めも五行目も、
「山のあなたの」と思っていました。