漢文の時間に習い教えた漢詩。
王維の「鹿柴(ろくさい)」
  空山不見人(空山人を見ず)
  但聞人語響(但だ人語の響きを聞くのみ)
  返景人深林(返景人林に深し)
  復照青苔上(復た照らす青台の上)

金岡照光さんの訳詩が添えてあります。
  山わびし、人絶えて
  洩れ来たる、声かすか。
  夕焼けは、林まで
  照らしたる、青き苔

うまい訳詩だなあと思います。

丸山 薫の最初の四行、
いいなあと思います。
  夜空に星が煌(きら)めくように
  昼間の空にも星があると
  そうおもう想念ほど
  奇異に美しいものはない
      (「美しい想念」より)

荒木一郎の「空に星があるように」を思い出しました。
 ♪空に星があるように
 ♪浜辺に砂があるように
 ♪ボクの心に たった一つの
 ♪小さな夢が ありました

巻末に鳥見迅彦さんが、
「山と詩人」と題する文章を載せています。

その中に、
髙村光太郎に関する個所があって、
心に残りました。

髙村光太郎は結婚前に、
智恵子と上高地に行ったそうです。
そこにイギリスの登山家ウェストンが、
夫人同伴で滞在していたそうです。
  そのウェストンが髙村光太郎に、
  智恵子のことを妹か妻かときいたそうだ。
  光太郎がともだちとこたえると、
  ウェストンは苦笑していたという。

髙村光太郎は、
欧米留学から帰ったばかりでしたので、
「ガールフレンド」という感覚でいったのでしょう。

妹でも妻でもなく、
恋人でもなく婚約者でもなく、
「ともだち」、
・・・いいなあと思います。
旬1