【紙上歌壇】2021・7・25
2021年07月25日
先々週、先週の紙上歌壇を読んでいて、
実にさまざまなる物思いをしました。
「知らないこと、多いなあ」という思い。
《山陰文芸
『慈しみの心』を読みて しろがねのごとき言葉を今日もにれかむ 米子 倉井正喜
添え書きに一片食(ひとかたけ)とのみしたためて古新聞に筍つつむ 江津 長田之男
「広辞苑」第七班を開く。
にれかむ【〇む】反芻類の獣が、噛んで飲み込んだものを口中に戻して再び食う。
反芻する。
〇:歯篇に台
ひとかたけ【一片食】一度の食事。
いずれの言葉も、
恥ずかしながら初めて目にしました。
「やさしいまなざしだなあ」という思い。
《朝日歌壇》
育てたる花盗まれし園児らの立て札「たいせつにそだててください」 (さいたま市)齋藤紀子
園児にも投稿者にも同じ眼差しを感じる。
「これがいちばんだなあ」という思い。
《朝日歌壇》
沈黙が全てを語つてゐるやうなフラッシュ浴びる周庭氏(アグネス)の貌 (高松市)桑内 繭
周庭さんを詠んだ歌はいくつもありましたが、
この一首が最も心に痛切に届きました。