先々週、先週の紙上歌壇を読んでいて、
実にさまざまなる物思いをしました。
「知らないこと、多いなあ」という思い。
 《山陰文芸
   『慈しみの心』を読みて しろがねのごとき言葉を今日もにれかむ  米子 倉井正喜
   添え書きに一片食(ひとかたけ)とのみしたためて古新聞に筍つつむ  江津 長田之男
「広辞苑」第七班を開く。
  にれかむ【〇む】反芻類の獣が、噛んで飲み込んだものを口中に戻して再び食う。
          反芻する。
       〇:歯篇に台

  ひとかたけ【一片食】一度の食事。
いずれの言葉も、
恥ずかしながら初めて目にしました。

「やさしいまなざしだなあ」という思い。
 《朝日歌壇》
   育てたる花盗まれし園児らの立て札「たいせつにそだててください」 (さいたま市)齋藤紀子

園児にも投稿者にも同じ眼差しを感じる。

「これがいちばんだなあ」という思い。
 《朝日歌壇》
   沈黙が全てを語つてゐるやうなフラッシュ浴びる周庭氏(アグネス)の貌 (高松市)桑内 繭
周庭さんを詠んだ歌はいくつもありましたが、
この一首が最も心に痛切に届きました。