「ゆうあい便」に入れようと思った本、
佐野洋子『役にたたない日々』(朝日文庫)を、
入れる前にもう一度きちんと読みました。

旬1

役に立たない日々が、
生きる役に立ちました。
  モモちゃんは、ずっと立腹しどうしである。
  ラジオを聞いていたら、
  四十歳の女が、
    給食の時、
    生徒に「いただきます:と云わせるんはかしからん。
  と云っていたそうである。
  誰かにいただいているのではない、
  給食費をはらっている。
  もし補助が国から下りていたら、
  それは我々の税金である。
  「うそーっ」と私は驚いた。
  「そこんちは家でごはんを食べる時もいただきますって云わないの」
  「知らないわよ。もう考えられない、考えられない」
  「何につけてもけじめってものがなくなったら人間おしまいじゃない」

酒井順子さんが「解説」を書いています。
  佐野さんの本を読むといつも、
  「生きるってこういうことだよなあ」と、
  私は思います。
  シンプルな真実だけが提示されている佐野さんの作品は、
  人生は面倒臭いし大変なものではあるが、
  ごはん食べて寝て起きてさえいれば、
  どうにかなるということを教えてくれる。
  そして、
  とにもかくにも自分でごはんをつくって、
  食べたくなるのです。
      (中略)
  これはごはんを作って食べようと思わせる本。
  そして、
  「生きていれば、死ぬのだ」
  といくことを、伝えてくれる本。

「役にたたない日々」が、
ちゃんと生きる役に立っている。