【二冊】2021・9・11
2021年09月11日
昨日から今朝にかけて読んだ二冊から。
まずは、
「母の友」(福音館書店)10月号で紹介されていた本。
ひうち棚『急がなくてもよいことを』(KADOKAWA)
幼い娘を連れて公園に行った父親の話。
掲示板に書かれた言葉を黙って見ている場面。
急がなくても
よいことを
あなたは
急いで
おりませんか
二人並んで座った草の上で娘に向かって言う場面。
ひーちゃん
そんな急いで
大きくならんでも
ええからね
ある年のお盆休みの話。
あろうことか自分が胃腸風邪をひいてしまい、
結局どこにも行けなかった。
ここらで「腸感冒」という症状を、
この人が育った四国では「胃腸風邪」というらしい。
もう一冊。
宮本紀子『始末屋』(光文社文庫)
真鶴の声が蘇る。
「嘘の中に真(まこと)がある・・・」
その言葉を直次郎は声に出して呟いた。
花菊は真鶴に手を合わせた。
痩(こ)けた頬を紅潮させ、
泣きながら花が咲いたように笑うと、
ぱっと部屋から飛び出した。
「あんな顔で笑う娘でありんしたか・・・」
真鶴がしみじみ言った。