昨日から今朝にかけて読んだ二冊から。

まずは、
「母の友」(福音館書店)10月号で紹介されていた本。
ひうち棚『急がなくてもよいことを』(KADOKAWA)

幼い娘を連れて公園に行った父親の話。
掲示板に書かれた言葉を黙って見ている場面。
  急がなくても
  よいことを
  あなたは
  急いで
  おりませんか

二人並んで座った草の上で娘に向かって言う場面。
  ひーちゃん
  そんな急いで
  大きくならんでも
  ええからね

ある年のお盆休みの話。
  あろうことか自分が胃腸風邪をひいてしまい、
  結局どこにも行けなかった。
ここらで「腸感冒」という症状を、
この人が育った四国では「胃腸風邪」というらしい。

もう一冊。
宮本紀子『始末屋』(光文社文庫)
  真鶴の声が蘇る。
  「嘘の中に真(まこと)がある・・・」
  その言葉を直次郎は声に出して呟いた。

  花菊は真鶴に手を合わせた。
  痩(こ)けた頬を紅潮させ、
  泣きながら花が咲いたように笑うと、
  ぱっと部屋から飛び出した。
  「あんな顔で笑う娘でありんしたか・・・」
  真鶴がしみじみ言った。

旬1