誤算は無い方がいい。
でも、
誤算があることも信じたい。

柚月裕子『パレードの誤算』(祥伝社文庫)を読んで、
そんなことを思いました。
旬1
そう思うに至った個所を引用します。
  働き蜂の法則は、
  百匹の蟻がいれば、
  ある一定数の蟻はよく働き、
  ある一定数の蟻はまったく働かないというものだ。

  働かない蟻を除外して、
  働く蟻だけを集めたとしても、
  そのなかから、
  やはり働かずに怠ける蟻が発生する。

  ほかにも、
  パレードの法則というものがある。
  この法則によると、
  ある事象の二割が全体の八割を担っているという。
  そう聞くと、
  二割以外のものは全体に影響を与えない・・・
  いなくてもいい存在だと考える人がいるかもしれない。
      (中略)
  働かない蟻にも、
  パレードの法則の二割以外の部分にも、存在意義はある。
  パレードも自分が唱えた法則で、
  それらが無価値だとは述べていない。
  もし、
  そのように解釈している人がいるとしたら、
  それは、
  パレードにとって誤算といえるだろう。

読むのが辛い個所もありましたし、
理不尽に憤る個所もありましたが、
同時に、
人の世の希望や、
人に対する信頼をも感じました。

そう言えば、
「信用」と「信頼」の違いについても、
熱く語られてもいました。