【昨夜の読書から】2021・10・3
2021年10月03日
夜ごと読み進めて、
58章のうち12章までたどり着きました。
サマセット・モーム『月と六ペンス』(新潮世界文学 31)
訳:田中西二郎、中野好夫、上田 勤、龍口直太朗
ストリックランドといえば、
四十のはずだ。
この齢になって、
いまさら恋愛事件をおこすなどというのは、
むしろ不快な感じさえした。
若気の思い上がった気持ちから、
僕は、
せいぜい三十五歳をもって。
男が恋愛をして物笑いにならないですむ最後の限界だと、
決めこんでいた。
「絵が描きたいんだよ、僕は」
「僕は言ってるじゃないか、描かないじゃいられないんだと」
「自分でもどうにもならないのだ」
「水に落ちた人間は、泳ぎが巧かろうと拙かろうと、そんなこと言っておられるか」
「なんとかして助からなければ、溺れ死ぬばかりだ」
これまで何度も挑戦して、
その度に挫折したモーム、
中途で放り出してきた『月と六ペンス』、
今回はどうやら読み終えることができそうだ。