毎日新聞「新著の余禄」は、
乾ルカ『おまえなんかに会いたくない』(中央公論社)
  人が誰かを嫌いだと思う心の動きそのものをなくすことはできない。
  だからこそ、
  その感情を否定せずに、
  向き合った上で、
  嫌いな人と共存できる道を探りたかった。

子どもに食べ物の好き嫌いをなくせと躾けたり、
子どもに人の好き嫌いをなくせと教育するのはやめたほうがいい。
嫌いでも食べろ、
嫌いでも付き合え、
そう教えるのが現実的かなと思う。

邪(よこしま)な心を否定するのではなく、
邪悪な心が言動につながらないためにはどうすればいいかを丁寧に教えるべきと思う。

往々にして教育現場は、
変容が難しい心の問題に立ち入ってしまう。
その性格を直せとか、
その感情を押し殺せとか。
そして勢い余って、
内心の自由に土足で踏み込む。