泉 ゆたか『おっぱい先生』(光文社)
時代小説ではなくて現代の助産院の話でした。

旬1
  「悠太郎くんは、病院で医師から粉ミルクのアレルギーがあると言われましたか?」
  「いいえ。お医者さんからは、何も言われていません。
  「わかりました。それでは、完全母乳での育児を希望しているのは悠太郎くんではなく、和美さんですね」

  私はこの子を、梨沙を、ひとりで立派に育てたいんです。
  世界で一番幸せにしてあげたいんです。
  仕事も育児も何でもできてかっこいい、
  梨沙のお母さんになりたいんです。
  それなのに、すべてがうまく行かないんです。
    無理です。
  えっ!・・・私には、梨沙を幸せにすることができないんでしょうか。
    そこではありません。
    長谷川さんがひとりで梨沙ちゃんを育てることは、無理です。できません。

「おっぱい先生」こと助産師の「寄本律子」は、
どんな患者の前でも動じないし、
その判断にブレもなければ、
その言葉には憶測もお上手もありません。

そして、
その物腰は自信に満ちています。