金子成人『ごんげん長屋つれづれ帖』(双葉文庫)、
全三巻すべて読み終える。

  「お師匠様、無常というのはなんでしょうか」
  お妙から、真剣な顔で問いかけられた栄五郎は戸惑った笑みを浮かべて。
  どう返答したものかと思案した栄五郎は、
  「世の中のものはすべて、移り変わるということだよ」
  お妙にもわかるように、
  嚙み砕いて話すことにしたという。
     (中略)
  無常というのは、
  今までなんとも思わなかった相手のことを、
  何かのきっかけで、
  別の思いを抱くことがあるということでもある。
これはお妙の母親お勝の心のうち。

無常、
形あるものはいつか壊れ崩れ、
命あるものはいつかは死ぬということ。
これが私の思い。