お店で古本を買ったのも2年ぶり。
「日本現代文學全集・講談社版9」
『北村透谷集 附 文學界派』

付録の「文学界派」の文章の中に、
戸川残花の「北村透谷君をいたみて」があり、
心に深く残りました。
     (前略)
  たゝちふさのみしたひつゝ
      父ともよはぬみとり子は
  したふにましてあはれなり
      あはれをうたふ君なれと
  けふはあはれを身のうへに
      うつすとはまたいかなるそ

      つれなき君と思ふなり
      つれなき人と思ふなり
      いつくにゆきしやよや君

  またうらわかき汝か妻は
      雨にうたれしいとさくら
  おもひみたれて色もなし
      いかにはかなく世をすてし
  世はすつるとも妻と子を
      いかに思ひてすてしそや

      つれなき君と思ふなり
      つれなき人と思ふなり
      いつくにゆきしやよや君
        (後略)

透谷が27歳で亡くなったとき、
妻ミナ(28歳)と長女英子(1歳10ヵ月)が遺されたそうです。