昨夜も西條奈加でした。
『千両かざり~女細工師お凛~』(新潮文庫)

旬1

  すごいとわかっちゃいても、
  誰もちていけねえ。
  追いつけるのはおそらく、
  後世の連中だけだ。
  あいつが生きているうちは、
  誰にもわかっちゃもらえねえだろう。

  お凛ちゃんの意匠は、
  いつもあたしの先を行く。
  あたしの考えどおりのものを、
  あたしが思い描くよりずっと面白く目の前に見せてくれる。
  こんなにどきどきすることって他にないわ。

細谷正充さんの解説からも少し引用します。
  一世一代の仕事を世に披露したときの高揚から、
  あまりにも意外な展開へと続く終盤の流れ。
  そして、
  胸の熱くなるラストまで、
  作者はお千賀の言葉通りの物語を見せてくれたのだ。
  読者が求めるものを提供しながら、
  想像を超えた面白さを堪能させてくれる。
  本当に、
  “こんなにどきどきすることって他にない” のである。