【いざ読まん(5)】2021・11・4
2021年11月04日
ホメロス『イリアス』(岩波文庫)「上」「下」を注文したら、
「下」の方が先に届いたので、
「上」が届くのを待って読もうと思いましたが、
「下」の巻末に付録があることに気づきました。
伝へロトドス作『ホメロス伝』
カタカナの名前がどんどん出てくる処は、
さくさく読んで、
ここで最初の「ピクン」に出会いました。
ホメロスは成人してから眼病を患(わずら)い失明します。
彼は町の評議会に出頭して、
評議員たちに、
目の見えない自分を町の公費で養うよう請願します。
議員の中でも、
以前、集会場で彼の詩や話を聴いたことのある者たちは、
みな賛成の意見であった。
が、王の一人がその請願に反対したという。
彼の挙げた理由はいろいろあったが、
主な理由は、
もし盲人たちの扶養を議会がすれば、
役に立たぬ者を多数抱えることになる、
というものであった。
このことがあってから、
この男の名はメレシゲネスよりも、
ホメロスの方が通りがよくなった。
「ホメロス」とは、
キュメの町では「盲人」の意味だったそうです。
評議会は協議の末、
彼を扶養しないという議決を下します。
その知らせを聞くと、
彼は、
我が身の不運を歎(なげ)いて詩を作ります。
その一部を引用します。
いつの日か
その者たちの誰彼(だれかれ)が、
苦難に遭ってようやくに、
わしの悲運を謀(たく)らんで、
おのれ自身を辱(はずか)しめたことを思い知るであろう