ホメロス『イリアス』(岩波文庫)「上」「下」を注文したら、
「下」の方が先に届いたので、
「上」が届くのを待って読もうと思いましたが、
「下」の巻末に付録があることに気づきました。
伝へロトドス作『ホメロス伝』

旬1

カタカナの名前がどんどん出てくる処は、
さくさく読んで、
ここで最初の「ピクン」に出会いました。

ホメロスは成人してから眼病を患(わずら)い失明します。
彼は町の評議会に出頭して、
評議員たちに、
目の見えない自分を町の公費で養うよう請願します。
  議員の中でも、
  以前、集会場で彼の詩や話を聴いたことのある者たちは、
  みな賛成の意見であった。
  が、王の一人がその請願に反対したという。
  彼の挙げた理由はいろいろあったが、
  主な理由は、
  もし盲人たちの扶養を議会がすれば、
  役に立たぬ者を多数抱えることになる、
  というものであった。
  このことがあってから、
  この男の名はメレシゲネスよりも、
  ホメロスの方が通りがよくなった。

「ホメロス」とは、
キュメの町では「盲人」の意味だったそうです。

評議会は協議の末、
彼を扶養しないという議決を下します。

その知らせを聞くと、
彼は、
我が身の不運を歎(なげ)いて詩を作ります。
その一部を引用します。

  いつの日か
  その者たちの誰彼(だれかれ)が、
  苦難に遭ってようやくに、
  わしの悲運を謀(たく)らんで、
  おのれ自身を辱(はずか)しめたことを思い知るであろう