止揚学園:福井達雨=文と絵『愛が いっぱい いっぱい』(偕成社)

旬1
十一月のページを開きました。
  フォークダンスがおわり、
  席にかえってきた何人かの子どもたちの笑顔が消え、
  目に涙があふれていました。
  驚いてたずねました。
  「どうしたんや。」
  子どもたちはしょんぼりとして、
  声をだそうとしません。
  そばにいた保母の三田さんが、
    この子どもたちがまちの子どもたちと手を握って踊ろうとしたら、
    まちの子どもたちが、
    “恐い” “汚い”といって手をつないでくれなかったんです。
    仕方なく、
    私たちだけが躍ったのですが、
    たまらない思いでした。

1994年発行のイラストエッセイです。