「ホメロス伝」のほぼ終わりに、
昨夜の「ピクン」がありました。
ホメロスが晩年を過ごした港町で、
海を見ながら坐っていると、
舟で魚捕り行っていた子どもたちが帰って来ます。
  ホメロスたちの所へ来てこう言った。
    他国から来たおじさんたちよ、
    これからおらたちがいうことの意味があんたらに判るかどうか、
    聴いてみてくれよ。
  その場にいた一人が、
  「言ってみろ」というと、
    おらたちが捕ったものはみんな置いてきた。
    捕らなかったものは今、持っている。
  といった。
  一説によると、
  子どもたちは、それを詩の形にして言ったという。
    捕らえたるは捨て置きたり
    捕らえざりしはここに持つ
       (中略)
  ホメロスはこの時、
  患った病いのためにイオスで死んだのであって、
  一部の者が考えているように、
  子どもたちの言葉が解らなかったためではなく、
  死因はやはり病いであった。 

ホメロスが解らなかったように、
私もこの謎めいた言葉が分かりません。

子どもたとは、
謎解きをしてみせます。
  漁に出たが魚は一尾も捕れなかった。
  そこで陸(おか)に上って坐り、
  虱(しらみ)捕りをしたが、
  つかまえた虱はそこへ捨て、
  とり損なったものはみんな家へ持ち帰ったというわけだ。

謎解きされても、
依然として分からないままです。

子どもの戯言(たわごと)なのか、
奥深い哲学が潜んでいるのか、
それさえ分かりません。