【悼む】2021・11・14
2021年11月14日
昨日の朝日新聞に、
林真理子が「瀬戸内寂聴さんを悼む」を寄稿しています。
ある時、
先生が私にこうおっしゃった。
真理子さん、
作家というのは死んでしまえば、
次の年には、
本屋から本が一冊もなくなってしまうものなのよ。
私の本の中で残るのは、
おそらく源氏物語の訳だけでしょね。
この自己分析のすごさ、客観性が、
瀬戸内寂聴という人なのであった。
その『瀬戸内寂聴訳 源氏物語』(講談社)巻十の巻末、
「源氏のしおり」に瀬戸内寂聴さんが、
こんなことを書いておられて、
まっとうな読み方をなさっていると門外漢ながら思います。
「浮舟」の帖は、
小説としての出来映が、
五十四帖中、
「若紫」と並ぶ圧巻で、
どうしても読み落とせない名篇である。
この最後の四帖には、
紫式部の小説家としての天分が、
まさに開花しきったという見事さと安定感を感じさせられる。