原田マハ『星がひとつほしいとの祈り』(実業之日本社文庫)、
昨夜、読み終えました。
  出口のないトンネルはないのだ。
  ただし、
  出口に到達するまで、
  いったいどれほどの月日が必要なのかは見当がつかないけれど。
  明かりも持たず、
  唯(ゆい)がさっさとひとりで、
  トンネルをずんずん進んでいってしまうような気がする。
  何も見えなくても、
  何も見ずに、
  遠くに行ってしまおうとしているような。

  島だの天然記念物だの野生復帰だの、
  そんなことにはまったく無関心だった。
  神経症の娘、
  日々の仕事、
  かつかつの暮らし。
  いつも混雑する心には、
  寸分の隙間もない。
  地球温暖化だエコだと騒がれていても、
  いっさい関心が湧かなかった。
  暮らしに余裕のある人が、
  ブームに乗せられているだけじゃないか、
  と冷めた目で見ていた。
旬1