『中学生までに読んでおきたい哲学(5) 自然のちから』(あすなろ書房)
宮沢賢治「やまなし」など、
知っている話はサクサク読んで、
昨夜、
ページをめくる手が止まったのは、
杉浦明平「雑草世界の近代化」
  遠州の秋葉山から三河の鳳来寺にぬける山の中で、
  オランダ画家として知られた司馬江漢が、
  弁当の握り飯を食べていると、
  そばで孫をつれた老婆がこれを見て、
    江戸に生まれたかたは浦やましい。
    そんな米が食べられる。
    自分たちは、
    山の中で一生、
    ヒエやアワに、
    木の芽やどんぐりをまぜたものしか食べたことがない。
  といったので、
  江漢は残った握り飯を子供にやったら、
  上等のお菓子でも食べるように食べたという。
  おそらく遠三の国境いあたりのことであろうが、
  山村ではヒエは主食だった。
      (中略)
  ともかくヒエというのが、
  けっして食欲をそそるような食物でないことだけはまちがいない。

キビもそうです。
おばあさんが桃太郎に黍団子(きびだんご)を持たせたのは、
それが美味しいからではなく、
人間は時にはキビのような不味いものを食べてでも、
貧しさに耐えて生き抜かなければならないことを、
おとぎ話に託して教えたのだと聞いたことがあります。

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