【いざ読まん(13)】2021・11・25
2021年11月25日
『中学生までに読んでおきたい哲学(5) 自然のちから』(あすなろ書房)
宮沢賢治「やまなし」など、
知っている話はサクサク読んで、
昨夜、
ページをめくる手が止まったのは、
杉浦明平「雑草世界の近代化」
遠州の秋葉山から三河の鳳来寺にぬける山の中で、
オランダ画家として知られた司馬江漢が、
弁当の握り飯を食べていると、
そばで孫をつれた老婆がこれを見て、
江戸に生まれたかたは浦やましい。
そんな米が食べられる。
自分たちは、
山の中で一生、
ヒエやアワに、
木の芽やどんぐりをまぜたものしか食べたことがない。
といったので、
江漢は残った握り飯を子供にやったら、
上等のお菓子でも食べるように食べたという。
おそらく遠三の国境いあたりのことであろうが、
山村ではヒエは主食だった。
(中略)
ともかくヒエというのが、
けっして食欲をそそるような食物でないことだけはまちがいない。
キビもそうです。
おばあさんが桃太郎に黍団子(きびだんご)を持たせたのは、
それが美味しいからではなく、
人間は時にはキビのような不味いものを食べてでも、
貧しさに耐えて生き抜かなければならないことを、
おとぎ話に託して教えたのだと聞いたことがあります。