昨夜の『中学生までに読んでおきたい哲学』は、
第三巻「うその楽しみ」

旬1

難解な個所はサクサク読み飛ばして、
最初に心が跳ねたのは、
河合隼雄の「うそは常備薬、真実は劇薬」

人は「適当なうそを上手に混じえて、人間関係を円滑にしている」が、
使い過ぎると「見えすいたお世辞」になってしまう。
だから、
「ここぞというときに、真実を言う練習をしておかなければならない」
しかし、
「真実は劇薬なので使いかたを間違うと大変なことが起こる」
「言ってはならぬ真実を口にしたために、人間関係が壊れて」しまうこともある。

薬は使わないにこしたことはないが、
使うなら常備薬と劇薬の折り合いをつけることが肝要だという結論になる。
そんな話の次に、
こんな例が載っていて、
そこに心が跳ねました。
  たとえば、
  誰かが皆の前で歌を歌う。
  あまり声もよくないし、
  音程も少しはずれていたとする。
  そんなときには「下手な歌でしたね」というのは真実すぎる。
  さりとて、上手だというのも見えすいたうそになる。
  そこでもし彼が心をこめて歌ったと感じるとき、
  「心がこもっていましたね」というのは、うそではない。

うそではないが嘘くさい。
ああ、めんどくせーなって思ってしまう。

漱石の「草枕」を思い出す。
  知に働けば角が立つ。
  情に掉させば流される。
  意地を通せば窮屈だ。
  とかく人の世はすみにく。