朝日新聞のコラム、
平田オリザ「古典百名山」
先週は太宰治の『津軽』でした。
  戦局が厳しさを増す中で、
  太宰はふるさと津軽を訪ねる。
  そこで出会う多くの人々は、
  かつて太宰が育った家の使用人たちだった。
  その邂逅(かいこう)の一場面一場面は、
  どれをとっても切なく美しい。

  最終盤、
  子守であった「たけ」との再会は、
  太宰文学の中でも際だって清廉な瞬間だ。

『津軽』の刊行は、
1944年だそうです。

昔、
授業中に、
「太宰は暗くて厭だな」と口走ったら、
「太宰を全部読まないでいて、いい加減なこと言わないでください」
と言った女子生徒がいました。
彼女が教えてくれた優しくて温かでユーモアのある作品の中に、
この『津軽』も入っていました。

そういえば、
彼女のイチオシは『新樹の言葉』でした。