【津軽】2021・12・8
2021年12月08日
「修治」と「たけ」の再会場面を、
『津軽』の最終盤から引用します。
その前に、
「たけ」の娘との出会いの場面。
「金木の津島です。」と名乗った。
少女は、あ、と言って笑った・
津島の子供を育てたということを、
たけは、
自分の子供たちにもかねがね言って聞かせていたのかもしれない。
もうそれだけで、
私とその少女の間に、
一切の他人行儀がなくなった。
ありがたいものだと思った。
私は、たけの子だ。
女中の子だっていい。
私は大声で言える。
私は、たけの子だ。
兄たちに軽蔑されたっていい。
私は、この少女ときょうだいだ。
以前、
NHK放送コンクール朗読部門で、
どこかの高校生がこの場面を朗読しました。
聞きながら心があわあわしました。
太宰にとって「たけ」は掛け替えのない存在だったのだ。
太宰に「たけ」が居てやっぱり良かった。
そんなふうに思いながら聞いたのを思い出します。