「修治」と「たけ」の再会場面を、
『津軽』の最終盤から引用します。
その前に、
「たけ」の娘との出会いの場面。
  「金木の津島です。」と名乗った。
  少女は、あ、と言って笑った・
  津島の子供を育てたということを、
  たけは、
  自分の子供たちにもかねがね言って聞かせていたのかもしれない。
  もうそれだけで、
  私とその少女の間に、
  一切の他人行儀がなくなった。
  ありがたいものだと思った。
  私は、たけの子だ。
  女中の子だっていい。
  私は大声で言える。
  私は、たけの子だ。
  兄たちに軽蔑されたっていい。
  私は、この少女ときょうだいだ。

以前、
NHK放送コンクール朗読部門で、
どこかの高校生がこの場面を朗読しました。
聞きながら心があわあわしました。

太宰にとって「たけ」は掛け替えのない存在だったのだ。
太宰に「たけ」が居てやっぱり良かった。
そんなふうに思いながら聞いたのを思い出します。

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