【岐路に立った時】2021・12・10
2021年12月10日
久しぶりに警察小説を読みました。
伏尾美紀『北緯43度のコールドケース』(KADOKAWA)
第67回 今年の江戸川乱歩賞受賞作だそうです。
とにかくその時、
私も誰かに悪いのはあなたじゃなくて犯人だって、
言ってあげたいなと思って。
照れたように寺島が言った。
警察官としてあまり熱心ではないと思っていた寺島が、
こんな純粋な気持ちで警察官になったということに、
沢村は驚いた。
そして同時に羨ましくもあった。
きっとこの純粋な思いは、
彼女がこの先の人生で岐路に立った時、
必ず力になってくれるだろうという気がした。
寺島は以前、痴漢に遭ったことがあります。
化粧や服装を非難されて落ち込んでいるとき、
一人の女性警察官が、
化粧したっていい。
悪いのは痴漢だ。
と言ってくれたことが忘れられなかったのです。
人生の転機とは、
およそこういうことだろうと思います。
そして、
人生の岐路に立つ人間を助けるのも、
およそこういうことだろうと思いました。