久しぶりに警察小説を読みました。
伏尾美紀『北緯43度のコールドケース』(KADOKAWA)

旬1

第67回 今年の江戸川乱歩賞受賞作だそうです。
    とにかくその時、
    私も誰かに悪いのはあなたじゃなくて犯人だって、
    言ってあげたいなと思って。
  照れたように寺島が言った。
  警察官としてあまり熱心ではないと思っていた寺島が、
  こんな純粋な気持ちで警察官になったということに、
  沢村は驚いた。

  そして同時に羨ましくもあった。
  きっとこの純粋な思いは、
  彼女がこの先の人生で岐路に立った時、
  必ず力になってくれるだろうという気がした。

寺島は以前、痴漢に遭ったことがあります。
化粧や服装を非難されて落ち込んでいるとき、
一人の女性警察官が、
  化粧したっていい。
  悪いのは痴漢だ。
と言ってくれたことが忘れられなかったのです。

人生の転機とは、
およそこういうことだろうと思います。
そして、
人生の岐路に立つ人間を助けるのも、
およそこういうことだろうと思いました。