トルストイ『文読む月日』下(ちくま文庫)
旬1

難しい個所や、
「神」に関する処は、
いつものようにサクサク読んで、
行き着いた日々を少々引用します。
11月28日
  一日の心労は、
  一日にて足る。
  己れの生を疑念と恐怖のなかに浪費するな。(エマスン)

12月10日
  きわめて普通の、
  きわめて大きな不幸に導く誘惑の一つは、
  「みんながそうだもの」
  という言葉で言い表される誘惑である。(トルストイ)

12月15日
  罪のない人間、
  完全に正しい人間は一人もいない。
  人間の違いは、
  ある人は全然罪がなく正しい人間で、
  ある人は罪だらけの人間といったものではなくて、
  ある人はできるだけ罪のない正しい生活をしようと努力しており、
  ある人はそうした努力をしないという点にあるのである。(トルストイ)

12月23日
  ソクラテスこそ、
  哲学を天から引き下ろし、
  人々に、
  人生について、
  人間の道義について、
  さらには善き行ないが招く結果について、
  学ぶことを慫慂(しょうよう)することによって、
  人々のあいだに哲学を普及させた最初の人であった。(キケロ)
「広辞苑」を開く。
  しょうよう【慫慂】かたわらから誘いすすめること。

12月31日
  過去はすでになく、
  未来はまだ到来していない。
  現在はすでにない過去と、
  まだ姿を見せない未来との無限の接点である。
  そこにおいてこそ、
  その時間のない一点においてこそ、
  人間の真の生活が行われるのである。(トルストイ)

大半のサクサクの合間に、
ときどきジックリ読んで、
全三巻のうちの一冊が終わりました。
一月から「上」です。