大阪のヨーコさんに教えていただいて、
料理家のアツコさんの本を買いました。

『出雲・赤名 あのころの思い出歳時記』夢見草の会(敬文舎)

旬1

読んでいて、
心が震えるような懐かしさを覚えました。

ちょうど、
昔の擦り傷のかさぶたを触っているような痛み。
触られているかさぶたは痛くないのに、
触っている指先に痛みを感じるような、
そんな痛み。

三好達治の詩「いにしへの日は」を、
断片的に思い出しました。
  いにしへの日はなつかしや

  ははそはのははもそのこも
  はるののにあそぶあそびを
  ふたたびはせず

帰り来ぬ昔の中から、
取り返しのつかない日々をいくつか引用します。

  山上がり
  ひな祭りの楽しみは、
  屋内だけではありませんでした。

  おばあちゃんや、
  おかあさんが作ってくれた、
  ごちそう弁当を、
  ほご(背負い籠」に入れて・・・

  見晴らしのいい目的地に着いたら、
  平らな場所を見つけて、
  筵(むしろ)を敷きます。
  そして、
  めいめいが持ち寄ったお弁当を食べます。

  日がな一日、
  飽きることなく、
  山の端に日が沈むまで宴は続きました。

  赤貝の殻蒸し
  お正月に絶対に欠かせないのが、
  この赤貝です。

  昔はカマスで大量に買っていました。
  貝を洗うのは子供の仕事。
  冷たくて、大変でした。

  鯨のみそ汁
  黒い皮の付いた脂身を薄切りにし、
  豆腐や野菜をたっぷり入れた味噌汁。
  小学校時代の給食にも登場しました。

  馬跳び
  助走をつけて馬になった者の背中へ乗り、
  立っている親とじゃんけんをします。
  負けたら馬の最後尾に付くという屋外での遊び。