【読み終えて(13)】2022・1・27
2022年01月27日
久しぶりに原田マハを読みました。
『異邦人(いりびと)』(PHP文芸文庫)
読み終えて、
やはり「異邦人(いりびと)」という語が気になりました。
この街は、
ぞっとするほど魅力的だ。
けれど同時に、
近寄りがたいほど気高い。
まるで運命の女(ファム・ファタル)のように。
魔物のように美しい。
底なしの湖のように奥が知れぬ。
冷たく、そら恐ろしい。
余所者(よそもの)は、
到底この街には受け入れられないだろう。
菜穂は、それに気づいていない。
この街では、
自分が永遠の異邦人(いりびと」であることを。
京都では、
昔から京都に住んでいる人を「地の人」、
京都以外で生まれて京都にやってきた人を「入り人」と呼ぶそうです。
この小説での「いりびと」は誰だろう?
「菜穂」なのか?
「一樹」なのか?
確かに東京で生まれ育って、
妊娠するまで東京に暮らし、
今、京都に住んでいるのは「菜穂」です。
でも、
「菜穂」が京都に馴染めていないのではないか?
と心配する「一樹」の方が、
永遠の異邦人なのかもしれない。
少なくとも「菜穂」の心の世界では、
永遠に住むことを拒絶された「異邦人」なのだから。