久しぶりに原田マハを読みました。
『異邦人(いりびと)』(PHP文芸文庫)

旬1
読み終えて、
やはり「異邦人(いりびと)」という語が気になりました。
  この街は、
  ぞっとするほど魅力的だ。
  けれど同時に、
  近寄りがたいほど気高い。
  まるで運命の女(ファム・ファタル)のように。
  魔物のように美しい。
  底なしの湖のように奥が知れぬ。
  冷たく、そら恐ろしい。
  余所者(よそもの)は、
  到底この街には受け入れられないだろう。
  菜穂は、それに気づいていない。
  この街では、
  自分が永遠の異邦人(いりびと」であることを。

京都では、
昔から京都に住んでいる人を「地の人」、
京都以外で生まれて京都にやってきた人を「入り人」と呼ぶそうです。

この小説での「いりびと」は誰だろう?
「菜穂」なのか?
「一樹」なのか?
確かに東京で生まれ育って、
妊娠するまで東京に暮らし、
今、京都に住んでいるのは「菜穂」です。

でも、
「菜穂」が京都に馴染めていないのではないか?
と心配する「一樹」の方が、
永遠の異邦人なのかもしれない。
少なくとも「菜穂」の心の世界では、
永遠に住むことを拒絶された「異邦人」なのだから。