2月1日の山陰中央新報「明窓」の冒頭は、
太宰治の『千代女』でした。
  太宰治の短編『千代女』は、
  作家を目指す少女の物語。
  少女は雑誌の投書で1等となり、
  世間の注目を浴びたが、
  後が続かず、
  鳴かず飛ばずとなる。
    炬燵(こたつ)にはいって雑誌を読んでいたら、
    眠くなって来たので、
    炬燵は人間の眠り箱だと思った。
  というストーリーの小説を書いたものの、
  誰からも評価されないまま終わる。

興味をそそられて、
さっそく買って、
するりと読みました。

まさしくそんな話でした。

俳人・加賀の千代女誕生秘話が書かれていて、
それがなんともなんとも心地よく心に残りました。

お師匠さんから「ほととぎす」という題をもらって、
いろいろ作ってお師匠さんに見せますが、
なかなか「よろしい」とは言ってもらえない。
  一晩ねむらずに考えて、
  ふと気が附いたら夜が明けていたので、
  何心なく、
    ほととぎす、ほととぎすとて明けにけり
  と書いてお師匠さんにお見せしたら、
  千代女でかした!
  とはじめて褒められた(後略)

旬1