中江有里『残りものには、過去がある』(新潮文庫)を読み終えて、
巻末の解説(一木けい)を読んでいたら、
またまた読み返すことなりました。
解説の中に、
こんな指摘があったからです。
  傍から見たらそんなことで、
  というような聡美の一言で、
  池田は力を取り返す。

え?
どの一言?
結局、探し出せず。

  終盤、
  「過去の人」に登場した聡美の姪と、
  貴子の人生が交差する場面がある。
  ただ一瞬、
  目が合うだけ。
  その目の中に、
  貴子はある思いを感じ取る。
  眼差しが、
  貴子に行動を起こさせる。
  強い印象を残すシーンだ。

謝りたいのに謝り方がわからない、
それが「ある思い」なのだろうと思った。

  そこで美月が発する、
  ずっと心の底に縛り付けていた三文字に、
  鳥肌が立った。

「三文字」が見つからない。
疲れて諦める。
残念ながら「鳥肌」を経験できなかった。

旬1