「青春と読書」(集英社)の3月号、
阿部暁子「カラフル」第8話に、
こんな場面があります。

同級生の「六花(りっか)」が、
車椅子で40キロ競歩に出ると言った時、
同じ班の女子高生がこんなことを言います。
  ねえ、うちらが渡辺さんに障がいがあるからって、
  差別してるとか思わないでね。
  そんなつもり、
  1ミリもないから。

  別に渡辺さんのこと嫌いじゃないし、
  むしろ障がい者の人って、
  もっと気を遣わなきゃいけない感じなのかなって思ってたけど、
  渡辺さん明るくて付き合いやすいし、
  大変なことも多いと思うけど、
  がんばってて偉いなって思うし・・・
  差別なんてしてない。
  傷つけたいわけでもないの。
  だから、
  仲のいい委員長に、
  なるべくソフトに伝えてほしって頼んでるし・・・

介助の仕方も分かないし、
班のメンバーの負担になって、
自分たちが楽しめないから、
そんな理由で、
「六花」が競歩に出ないように言ってくれと、
「六花」と親しい男子生徒に頼む場面です。

人はこんなふうに言い訳しながらもきっちり差別する。
後ろめたく思いながらもすべき差別はきちんとする。
差別なんかしてしないという人は上手に差別する。