久しぶりにスケッチブックを開いて、
このごろ絵を描くのも大儀になったなあと思う。

  たいぎ【大儀】めんどうくさいこと。骨の折れること。
                   (「広辞苑」第七版)

そういえば、
夏目漱石は「文鳥」の中で、
「大儀」を「退儀」と書いていた。
  翌朝目が覚めると硝子戸(ガラスど)に日が射してゐる。
  忽(たちま)ち文鳥に餌(ゑ)をやらなければならないなと思つた。
  けれども起きるのが退儀であつた。
          (集英社『漱石文学全集』第十巻 小品・短編・紀行)

 

花2