「母の友」(福音館書店)の7月号に、
岸田奈美さんがエッセイを載せています。
  わたしの弟は、
  ダウン症で生まれてきた。
  小学生のころ、
  同年代の親たちが立ち話すると、
  そのうち我が子じまんがはじまる。
  ひとりずつ、
  順番にボールをパスするみたく、
  褒め言葉の応酬になり、
  母の番になったとき、
  何人かの笑顔がピチィッとひきつる。
  そんな時、
  母が繰り出す褒め言葉は決まっている、
  「うちの息子は、不良になる心配はないわ」
       (「二十六の昼、弁当を投げ捨てて」)

その弟が、
福祉作業所で「頭にきた」ことがあって、
「早抜け」してきたそうだ。
  その晩、
  後悔でションボリする不良を励ます晩餐会が、
  わが家で執り行われたのだった。

26歳にして初めて「不良」なった祝賀会、
さすが岸田家です。

胸のすく思いで読みました。

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